滅多に出来ないこと。

「滅多に出来ないこと。」
彼女は高校2年生の水泳部、水泳部といっても競泳ではなく飛び込みの方である。
「普段は水着を着て練習したり競技するけど、今着ている制服で飛び込みするとどうなるのだろう?そういうことって普通はやらない・・・でも今日は無性にやってみようかなぁ。」
ボーイシュ的な黒髪のショートヘアー、白い長袖のシャツの袖をまくり、襟元の赤いリボンにグレーのチェックスカート、紺色のハイソックスに黒のローファースタイルである。
彼女は制服のまま高さ10メートルの飛び込み台にいた。
「普段は抱え込んだり、ひねりを入れながら飛び込むけど・・・制服のままだから、ひねりや抱え込みなしでそのままプールに飛び込んでみよう。」
気持ちを高めるため呼吸を整え飛び込むタイミングを待つ、そして・・・。
「よ~~し、いきま~~す!!!」
競泳のスタート時の飛び込みの要領で高さ10メートルから飛び込んだ。ぐんぐんとスピードは上がり プールに着水した。
「ザッパァ~~ン!!!!!!」
着水した瞬間、水しぶきはあまり立たず綺麗に飛び込んだ。水中に入った彼女は数メートル下まで潜っていき、潜りきった後、水面に向かって浮上していく。
「何とも言えない透明感・・・綺麗だわぁ。」
水面から顔を出した時、黒髪のショートヘアーは額に貼り付いていた。
平泳ぎでプールサイドまで向かう。
プールから上がり額に貼り付いていた髪を手でほぐし、シャツやリボン、スカートに大量の水が滴り落ちる、絞っても絞っても水が滴り落ちる。
ローファーに溜まっていた水を出していく。
「あぁ~~スッキリした!!、制服のまま飛び込みなんて滅多にないからね。さぁ、他の部員が来ないうちに早く着替えよ。部活が終わる頃には制服も乾いてるでしょう。」
滅多に出来ないことをやった彼女の表情は清々しかった。

おわり