クラスの絆(後編)

「クラスの絆(後編)」
彼女は私立高校3年生現役の女子高生であり女優でもある。ドラマ撮影を断りクラス対抗水泳大会のプールに戻った彼女。水着に着替える間もなく彼女は制服のままプールに向かった。
他のクラス担任から「おい何やってんだ!!離れなさい。」
他の担任からも「あなたこのまま参加するつもり?止めなさい!!」と言われるが彼女も言い返す。
「私は仕事より大事な日なの!!」
彼女の担任は他のクラス担任に「彼女の意思を尊重して下さい!彼女にとってはかけがえのない日なんですよ!!」と言い。他のクラス担任は反論しなかった。
クラス全員リレーのアンカーの時が来た。他のクラスが水着であるのに彼女が制服。他のクラスも遠くから「おいおい。マジで泳ぐのか」と周囲はざわついた。そして「いくわよ~~!!」と絶叫しながらプールに飛び込んだ。
「ザップ~~ン!!!!」
彼女は懸命に泳ぐ。シャツの裾が出ても気にすることなく。腕を掻き、足を力一杯水面を蹴り上げる。25mのターンして後は向かいの壁にタッチすればいい。しかし制服のまま泳ぐのは水着よりもスピードが出ない。シャツの袖が腕にまとわりスカートも太ももにまとわりついて泳ぎにくい。ましてや紺色のハイソックスとローファーのまま泳いでいるのだから、他のクラスがどんどん迫って来た。残り10m頭1つリード。彼女は懸命に泳ぐ。5m、3mそして・・・ゴール。
「勝ったぁ~~!!」彼女のクラスが勝って優勝。
彼女は「はぁ、はぁ」っと肩で息をしながらしばらくプールから上がれなかった。数人のクラスメートから抱えられ彼女はプールから上がった。
彼女は全身びしょ濡れになった。髪の毛や白いシャツ、えんじ色のネクタイ、グレーのチェックスカート、ハイソックスや黒のローファーから無数の水が滴り落ちまくっていた。
クラスメートから「どうして撮影に行かなくって参加したの?」と問うと。彼女はこう答えた。
「私は仕事がある度に行事に参加することが出来なかったから絆な深まらなかったから、それがすごく寂しかった。だから・・・今回だけは出なければ学校生活に悔いが残るから・・・」その後彼女は言葉にならないくらい泣き崩れてしまった。
「ありがとうね。」っと1人のクラスメートから声をかけると。次々と声をかけた。なかには彼女の頑張りを見て泣き出してしまう人もいた。
仕事を断り、後で監督や共演者に怒られるけど、私は学校生活の大事な1日に参加することは良かったと思う。
びしょ濡れの制服のままクラスの絆が深まった夏の日の出来事であった。

おわり